阪堺電車
4月19日(月)
阪堺電車、いや、チンチン電車に乗って、帝塚山3丁目で降りる。
懐古ばかりしておかしいんじゃないの?
そう思いながら、降りた帝塚山の、あのパン屋さんはシャッターが下りていて、あの場所は更地になっていた。
あの時、一年くらい起き上がれなかった。
子供が学校へ出掛けるとカーテンを閉め、電話線を抜き、ベッドに潜り込み、ただただ寝ていた。
子供が帰ってきそうな時間になると起き上がり、カーテンを開け、服に着替える。
「おかえり。」と何事もないような顔をして、夕飯を作った。
あの場所はもう消えてしまい、私の辛い過去も消えたかな。
道路に埋め込まれた線路沿いを歩き、姫松を目指す。昔からのコーヒー屋もおうどんのお店も和菓子屋も、懐かしい。いいな、大好きな町。
横断歩道の正面には、よく通ったケーキ屋さんもまだあって、いろんな事を思い出す。
もう少し線路沿いに歩けば、母親の実家があった場所。今はもうないけれど。
辛かった事も楽しかった事も、全部過去になっていた。
一人になったら、また戻って来ようかな、いいかもしれないな、と思う。
なんにもない町。ただ広い道が真ん中にあり、そこを路面電車が走る。チンチン電車しかない町。